本日の担当は、川本正秀です。
あなたは、見知らぬ人に話しかけたことがありますか?
ある川に面したベンチに座って景色をながめていました。
しばらくすると、中年の男性が少し離れて、となりにすわりました。
「あ~~、そうやなあ~~」
男性は、ため息をついてはつぶやくことが何度かつづきました。
「失礼ですが、ちょっと気になって・・・私でよければお話をききますよ」
柔らかい表情と言葉で彼にそう告げました。
少し驚いたような表情でしたが、二度うなづいて話し始めました。
男性は五十代で、ようやく自分の子どもを自立させて、さあこれからは少し自由にと思い始めたところ、八十代の親の介護という問題に直面していました。
小さな声で淡々と、川の流れを見つめながら話してくれました。
「すいまへんな、よう知らんお人につまらん話しして」
「いえいえ、明日は我が身ですから・・」
「ありがとうございました。なんや、話したら少し元気になりましたわ」
彼はよいしょと立ち上がって、ペコリと頭を下げ、川沿いを去っていきました。
書店に行くと中高年に関係するコーナーがあって、たくさん並んでいます。
一冊選んで目次を見ていると、頭の中が洗濯機のようにグルグルしてきました。
ああ、自分もこうなのか、イヤイヤちょっと違うぞ、と心が騒がしくなります。
あの時の男性も、きっとグルグルしていたんだなぁ、と思いました。
「四十になると迷うことがなくなり、五十になれば天から与えられた使命や運命を知る」と先人は言っていました。
しかし、多くの人はあれこれ迷い、なかなか知ることができないのではないでしょうか。
だからこそ、「グルグル」を言葉にして、誰かに話して、頭を整理することが必要なのだと感じます。
話す人は、きき手がいれば、きっと少し元気になれのではないかと思います。
ただきくだけで余分なことを言わなくても、話し手は自分が進む方向に見当がつくのではないでしょうか。
あなたも、気になる方がいたら、声をかけてみませんか?
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